アジアの成長支援

アジアの成長は、米国の関税引き上げ内需の鈍化という二重の圧力の下、2025年後半を通して鈍化する可能性が高いと考えます。成長への圧力が強まっていることを受け、アジア各国の中央銀行は金融緩和を進め、政府は財政支援を拡大すると予想されます。

トランプ大統領の貿易戦争をめぐる不確実性の大部分は、貿易協定の締結が進んだことで解消されたものの、ほぼすべてのアジア諸国において、米国の関税率は年初に比べはるかに上昇しました。とはいえ、中国に対する関税率は一時の145%から大幅に引き下げられ、大半のアジア諸国に対する関税率は現在、トランプ大統領が「解放の日」(42日)に設定した当初の水準を下回っています。

外部の不確実性に加え、内需もアジア全域で鈍化しています。中国の鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高といったマクロ経済指標は8月に軒並み鈍化し、市場予想を下回りました。とは言うものの、この減速は、中国政府が投資成長を抑制し、デフレ圧力の緩和を目指す「反内巻」政策を推進しようとしていることによるもので、今年の成長目標達成に対する当局の自信を反映していると考えます。

他のアジア諸国も、内需に下押し圧力がかかっており、支援を強化しようとしています。金融政策面では、タイ中央銀行(813日)、インドネシア中央銀行(820日)、フィリピン中央銀行(828日)が政策金利を引き下げ、他のアジア中央銀行も追随する見込みです。財政面では、インドは消費を下支えするために物品・サービス税(GST)制度を改革し、インドネシアのプラボウォ大統領は内閣改造を実施して、財政拡拡張派の財務相を任命しました。韓国は6月、新たに就任した李在明新大統領の下で、第2次補正予算を成立させました。日本も、まもなく誕生する新政権の下で財政政策を緩和することが予想されます。

投資推奨としては、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げを再開する見込みであることから、アジアの債券と通貨について前向きな見方を維持しています。株式については、内需主導で、政策金利の引き下げの余地があり、マクロ面や政治面で固有の懸念のない市場を推奨します。中国/香港、インド、オーストラリアの市場が検討対象となるでしょう。

今週のチャート
米国の対アジア相互関税率

出所:The White House, Morgan Stanley, AllianzGI Economics & Strategy、2025年9月時点。

過去の実績や予測、予想、見込みは将来の実績を示すものではなく、また、将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。

来週を考える

来週は、欧州の先行指標と米国の先行指標、住宅販売件数、耐久財受注、第2四半期の国内総生産(GDP)成長率などが控えています。

ユーロ圏では、月曜日に発表される9月のユーロ圏消費者信頼感指数から最新の消費者心理が明らかになります。火曜日には、9月のユーロ圏製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、米国の相互関税引き上げの脅威にさらされる中での最新の経済状況が浮き彫りになるでしょう。

米国では、火曜日に控えている9月の製造業・サービス業PMIが最新の景況感を判断する材料となります。今後の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの程度を見極めるための手がかりとして、景況感の悪化の兆候が市場の注目を集めそうです。来週はまた、米国の8月の住宅販売件数が発表され、市場予想では中古住宅販売件数は約400万戸、新築一戸建て住宅販売件数は約653,000戸になる見込みです。木曜日には、9月の直近の新規失業保険申請件数、8月の耐久財受注、第2四半期GDP成長率の確定値が控えています。金曜日は、8月の個人消費支出(PCE)価格指数(総合・コア)と9月のミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。

幸運と高いリターンに恵まれますように。

Top Insights

来週を考える | The Week Ahead

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が最近示した、ECBが「良い位置にある」との見解をパングロス博士の主張と同一視することはできないものの、ユーロ圏経済の堅調さをめぐり、夏の間見られた楽観論がやや薄れ始めているように見受けられます。

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米国は現在、政府閉鎖の真っただ中にあります。政府閉鎖は、立法府(議会)が公的サービスへの連邦支出を承認または延長する法案で合意に至らない場合に発生します。その結果、米国政府の大部分が事実上活動を停止し、必須とされる業務のみが継続します。

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ミュンヘン発祥で今や世界的なイベントとなったオクトーバーフェストは、この記事をお読みいただく頃には既に閉幕しているでしょう。一方、投資家の間で、資本市場にも「オクトーバーフェスト」があるかもしれないとの期待が生まれています。

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