日本:高市首相の地滑り的勝利が意味するもの

高市早苗首相率いる自由民主党(自民党)は、28日の衆議院解散総選挙で定数465議席のうち316議席を獲得するという、歴史的勝利を収めました。自民党単独で衆議院の3分の2を超える圧倒的多数を確保し、野党が過半数を占める参議院の決定を覆すことが可能となりました。連立パートナーである日本維新の会(維新)を合わせると合計352議席(自民316議席、維新36議席)となり、202410月の衆院選で獲得した233議席(自民199議席、維新34議席)から大幅に議席を伸ばしました。

選挙後、高市首相は特別国会が招集され次第、2026年度予算案を提出するとみられます。これは、予算成立が41日の新年度開始以降にずれ込むことを避けるためです。予算に関しては憲法により衆議院に優越的な権限が与えられているため、自民党が衆議院を掌握したことで、参議院(与党連合が過半数を割っている)で予算案が否決や修正されても衆議院で30日以内にその議決を覆すことができます。

予算成立後、高市首相は議論を呼んでいる食料品の消費税減税に注力するとみられます。選挙戦中、高市首相は飲食料品の消費税を時限的に2年間停止する政策を支持し、赤字国債発行に頼らずに補助金の削減や税外収入で賄うと公約しました。しかし、自民党が地滑り的勝利を収めたことで、この政策に関する連立パートナーや野党の要求に合わせる必要性は薄れています。減税の実施延期や規模縮小の余地が生まれ、対象となる食料品目を限定したり予定より早期の終了条項を導入したりすることも考えられます。市場は、減税とその財源をめぐる高市首相の判断を注視するでしょう。内容によっては財政悪化リスクの警戒材料となり、超長期ゾーンの日本国債市場が敏感に反応する可能性があります。

また、今回の勝利は高市首相の外交方針と自民党の防衛戦略に対する強い信任を示すものでもあります。高市政権は今後、安全保障問題に対するタカ派的な姿勢を鮮明にすべく、日本の防衛費を徐々に引き上げていくことが予想されます。

中期的には、高市首相の地滑り的勝利は、(1) 減税や財政支出拡大を背景に株式市場にはプラス(2) 財政悪化懸念により日本国債にはマイナス(3) 財政不安と金融正常化の遅れを通じて円にはマイナスに作用すると考えます。弊社では、日本銀行が超長期国債と円に対する市場圧力を緩和するため、2026年末までに政策金利である無担保コール翌日物金利を50bp引き上げて1.25%にするとの見方を維持します。

今週のチャート
日本の衆議院選挙の結果

注:自民=自由民主党、維新=日本維新の会、中道=中道改革連合(立憲民主党+公明党)、国民=国民民主党。「選挙前」の議席は、各候補者の立候補時の政党ではなく、解散前の院内会派に基づき集計。

出所:Japan’s Lower House, Barclays. AllianzGI Economics & Strategy、2026年2月時点。

過去の実績や予測、予想、見込みは将来の実績を示すものではなく、また、将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。

来週を考える

来週は、米国の景況感指標、耐久財受注、物価指標に加え、欧州の景況感指標と日本の国内総生産(GDP)統計および消費者物価指数(CPI)が注目されます。

米国では、火曜日に発表される2月のニューヨーク連銀製造業景気指数から、製造業の最新動向が明らかになります。また、水曜日に2月のフィラデルフィア連銀景況指数、金曜日に2月の購買担当者景気指数(PMI)と2月のミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。他にも、火曜日に2月の全米住宅建設業者協会(NAHB)住宅市場指数、水曜日に12月の耐久財受注と最新の建設許可件数・住宅着工件数が控えています。金曜日には、米国の第4四半期GDP速報値と12月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表されます。

ユーロ圏では、月曜日に12月の鉱工業生産が発表されます。また、景況感指数も控えており、2月の消費者信頼感指数が木曜日、PMIが金曜日に発表されます。

日本では、月曜日に2025年第4四半期のGDP統計が発表されます。市場では、前期のマイナス成長から反転し、年率換算で前期比1.6%のプラス成長になると予想しています。水曜日には1月の貿易統計、金曜日には1月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されます。

今週も地滑り的な利益を上げられますように。

Top Insights

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高市早苗首相率いる自由民主党は、2月8日の衆議院解散総選挙で定数465議席のうち316議席を獲得するという、歴史的勝利を収めました。自民党単独で衆議院の3分の2を超える圧倒的多数を確保し、野党が過半数を占める参議院の決定を覆すことが可能となりました。

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私たちは今、波乱の時代を生きています。国際政治では次第に勢力圏の変化が色濃くなっていますが、現在の金融市場は、イランやグリーンランドをめぐる最近の混乱といった大きく報じられている地政学的リスクにとどまらず、マクロ経済指標や企業収益、中期的な利回りに影響する要因に注目しています。

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年初の市場は好調なスタートとなりました。株価は上昇し、投資家やファンドマネージャーを対象とした各種サーベイからは、景気見通し、企業収益、そして自身のリスク選好に対する楽観的な見方が強まっていることがうかがえます。

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