エルマウ（ドイツ）で開催された主要7ヵ国（G7）首脳会議は「エマージング・マーケット・クライメート・アクション（EMCA）」戦略について、気候変動関連インフラに民間資本を動員し、多国間の資金調達・協力を強化するための革新的で市場先導型アプローチの具体例として支持する旨を明らかにした。また、ドイツはEMCAへの投資を増やす意向も表明しました。
EMCAは欧州投資銀行（EIB）とアリアンツ・グローバル・インベスターズ（アリアンツGI）が共同で立ち上げたブレンド・ファイナンスの革新的な戦略で、アフリカ、アジア、中南米、中東における気候変動の緩和と適応に焦点を当てたプロジェクトのほか、環境プロジェクトの資金調達を行います。
G7は2021年6月に英国コーンウォールで開催された前回会合で、途上国におけるインフラ投資ギャップの早急な是正という野心的目標を掲げた「ビルド・バック・ベター・ワールド（より良い世界の再建）」構想を採択しており、EMCAの趣旨はこれと一致します。G7各国は、パンデミックからの力強い回復と持続可能な開発目標（SDGs）や気候と環境に関する国際公約の達成に向けた急速な進展を可能にする質の高い持続可能なインフラ整備への支援を掲げました。
EIB ベルナー・ホイヤー総裁のコメント：
「ウクライナ戦争は、欧州のグリーン化と化石燃料からの脱却を推進する上で考えつく限りの最大の論拠となると同時に、気候危機への対処という点ではこの10年間が正念場となるでしょう。そのためには、気候対策プロジェクトに膨大な民間資本を動員する必要があります。EIBは、アリアンツGIと共同で立ち上げたEMCAへの支持をG7が表明したことを歓迎します。EIBはEMCAを通じて各国や金融機関と協力し、世界規模で再生可能エネルギーおよび省エネルギープロジェクトへの資金調達を加速していく方針です。」
アリアンツGI トビアス・プロス最高経営責任者のコメント：
「この1年間で、地球が直面する課題とその対策の緊急性がまさに浮彫になりました。また特に新興国では、深刻な格差やそれらの課題の解決に必要な資金の不足も明確になりました。しかるべき解決法を生み出すためには協調的な行動が不可欠であり、G7が気候変動対策の資金調達を目的とする我々の共同プロジェクトへの支援を表明したことを喜ばしく考えています。」
EMCAは2021年11月のCOP26開催中にEIBとアリアンツGIが立ち上げた革新的なブレンド・ファイナンスの戦略であり、6億ユーロの調達を目標に掲げました。ドイツ、ルクセンブルグの両政府、北欧開発基金、アリアンツ、フォルクサム・グループとEIBがアンカー投資家として参加しています。新興国と途上国における新規の気候変動関連インフラに初期段階から投資し、気候変動の緩和、気候変動への適応および環境プロジェクトに焦点を当てています。同ビークルはインパクト投資におけるフラグシップとして多額の民間資金を誘導し、アフリカ、アジア、中南米および中東で気候対策を軌道に乗せることを目指しています。既に最初の案件として、東アフリカで温度管理のできる保管・流通施設の建設資金を調達するARCH Cold Chain Solutions East Africa Fundへの投資を行いました。同ファンドは、収穫後の食品ロスに伴う二酸化炭素排出量の削減を主要目標としています。
補足情報
欧州投資銀行
欧州投資銀行（EIB）は欧州連合（EU）の長期融資部門で、EU加盟国が出資しており、欧州域内とそれ以外の地域でEUの政策目標達成に資する健全な投資に必要な長期融資を提供しています。EIBは約160ヵ国で活動しており、気候変動対策プロジェクトに関しては世界で最も多国間に融資している企業となっています。EIBグループは先に「気候銀行ロードマップ」を採択し、2020年代末までに1兆ユーロ規模の気候変動対策および環境の持続可能性を支援するための投資を行うほか、2025年までにEIBの投資総額の50%超をそうしたプロジェクトに振り向けるとする目標の達成を目指しています。さらにロードマップの一環として、2021年以降EIBグループが新たに手掛ける全ての案件はパリ協定の目標と原則に準拠したものに限定されています。
Active is: Allianz Global Investors
Data as at 31 March 2022