ブログ:債券投資家がパブリック市場から手を引き始める中トレードファイナンス戦略は資金を現金で保有しておくよりも良い選択肢になることを目指しています
エコノミストらは、実体経済のリセッション(景気後退)が当初考えられていたよりも早く訪れるという確信を強めつつあります。ブルームバーグ・エコノミクスは1カ月の間に、リセッションの開始時期の予想を前倒しするとともにその確信度を引き上げ、来年8月までリセッション入りすることはほぼ確実と述べました。
リセッションが早まるリスクが高まる
一方、金融市場では、悲観的な投資家心理がすでに弱気相場へとつながり、ほぼすべてのアセットクラスが影響を受けています。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、総額で8,000億ドルを運用する投資家を対象に実施した7月のグローバルファンドマネジャー調査において、投資家がリスク資産から手を引いていることを受け、現在の状態を「全面降伏」と評しました。
欧州の債券市場は今年に入ってから、ほぼ500億ユーロの資金が流出しました。この金額は、このアセットクラスのかなりの部分に相当します。
インフレが9%を超えているにもかかわらず、投資家の間では、金利、インフレ、成長に関する方向性が明確になるのをうかがう間、資金を現金で保有しておく姿勢が最も強く見られます。同調査によれば、現金保有額は2001年以来最高水準となりました。
ファンドマネジャー調査の回答者は、現金、ヘルスケア、コモディティをオーバーウエイトにしている
オーバーウエイトからアンダーウエイトを差し引いたネットベースの割合
2022年1月からの累積資金フロー、運用資産に占める割合
金融情勢の引き締めが今後も信用市場の多くのセグメントに影響すると思われる中、信用サイクルが下降局面に入るとの予想から、多くの機関投資家は様子見をしています。
この状況において、プライベート・クレジット戦略の一つとしてトレードファイナンスに目を付け、資産の配分やリサーチを行う機関投資家のお客様が増えています。
トレードファイナンスは、原資産の平均満期が120日未満であることから、中期的なリスクを避けながら債券ポートフォリオからのインカム創出を維持する魅力的な方法といえます。
トレードファイナンスはまた、短期金利の上昇に乗じて、投資家にリターンをもたらしています。トレードファイナンスの強みは、レバレッジドローンや債券に比べデフォルト率が低く、回収率が高いことにあるため、最も悲観的なシナリオにおいて、デフォルト率が予想より高くなった場合のダウンサイドプロテクションを提供してくれます。さらに、ほとんどの戦略は月単位の流動性を提供するため、一つの戦略に何年も縛られるという、今日の市場では厄介なことになりつつある状況に陥ることもありません。
インフレは、投資家が手元に置いたままにしている現金の価値を目減りさせるだけでなく、投資家が将来の退職者や年金加入者のために実現できる実質リターンも目減りさせます。新たな市場サイクルの中で債券市場を安全に乗り切る方法が模索される中、トレードファイナンス投資戦略に答えを見出す投資家が増えることが予想されます。