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「永久に残る化学物質」は終わりを迎えるか?

欧州連合(EU)では、2023年に入ってから数カ月の間に、「永久に残る化学物質(forever chemicals)」をめぐる施策がいくつか登場しており、最終的には、これらの分解の遅い物質の禁止につながると思われます。米国やアジアでも、この問題に対する関心が高まりつつあり、同じような措置が取られる可能性があると弊社はみています。

「永久に残る化学物質」とは何か?

「永遠の化学物質」は、2019年に作られた造語で、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれる、およそ1万種類の人工化学物質群の総称です。1940年代から広く使われているPFASは、数千年、あるいは数百万年もの間、環境に残留する可能性があります1

これらの化学物質は、熱に強く、高い耐久性を持ち、分解が遅く、人間の健康と環境に有害な影響を及ぼす恐れがあります。PFASは、衣類や繊維製品、シャンプー、コーティングされた鍋・フライパン、食品包装など、多くの日用品に含まれています。
EUの提案

2023年1月に、欧州化学物質庁(ECHA)は、PFASを禁止する提案を5カ国の政府当局から受け取りました2。提案において、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オランダ、スウェーデンの当局は、PFASの製造、販売、使用のリスクを挙げ、EUと欧州経済地域全域で対処する必要があるとしています。

提案が可決されれば、欧州でこれまでに実施された化学物質に対する禁止措置の中でも、とりわけ規模の大きなものになるでしょう。ECHAの科学委員会は現在、人間と環境への影響とリスクという観点から、この提案の評価を進めています。

弊社は、PFASの禁止が早ければ2025年にも実現すると考えていますが、代替物質の入手可能性によっては、企業が代替物質を導入するまで18カ月から12年の猶予期間が与えられる可能性があります。
次の動きは?

ECHAは、2023年3月から6カ月の間、この提案に対するパブリックコメントを受け付けます。これにより、業界の代表者などは、予定されているEUの禁止措置に対して意見を提出することができます。さらに、2つの科学委員会からの意見も取り入れられる予定です。ECHAは、2025年には欧州委員会がすべてのEU加盟国による投票を実施できるよう、最終案を準備する見込みです。可決されれば、この禁止措置は、2026年か、場合によってはそれより後に発効すると思われます。
弊社の見解

弊社は、PFASの有害な影響に対処する世界的な取り組みにおける次の一歩として、今回の提案を歓迎します。欧州では2006年以降、化学物質に対する規制が導入されており3、一部のPFASに対する禁止は2021年から施行されていますが、今回の提案は、関連するEU企業に変化を迫るだけでなく、世界的に適用できる枠組みを提示するものになるかもしれません。

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