願いを込めて

クリスマスまで残すところあと数日となり、子供たちは欲しいものを願い、親たちは、それがひとつでも多く叶う事を願っているでしょう。子供たちと同じように、投資家も何が欲しいか考えているはずです。しかし、投資家は欲しいもの手紙を書く代わりに、その希望を市場価格で表現します。

債券投資家が、米国連邦準備制度理事会(FRB)が2023年内に政策金利の5%以上の引き上げを望んでいないは明らかあり事実、主要金利がその基準値以下に維持されていることが最良と言えるでしょう。インフレ率が急速に低下し、下半期に1~2回の利下げ(各25bp)に留まれば、債券投資家にとっては喜ばしいものとなるでしょう。労働市場の回復による供給の予想以上の増加、あるいは経済活動の大幅な鈍化による需要減のどちらの要因により、米国の労働市場の逼迫が今後数ヶ月で急速に緩和されれば、その願いは叶うかもしれません。金融市場はすでに利下げへの期待を織り込んでいるように見えます。しかし、すべての願いが叶うわけではないことは、多くの人が人生で学んできたことでしょう。

もし中央銀行がこれ以上金利を上げなければ、株式市場の参加者にとっても、それは喜ばしいものとなるでしょう。金利の低下は、バリュエーションに余裕をもたらすでしょう。しかし、顕著な経済成長の鈍化による金利の引き下げは、株式投資家に嫌厭されるでしょう。来年の業績見通しが通常よりかなり控えめだとしても、今のところ、アナリストのモデルの多くは、以前の不況時に見られたような収益の落ち込みを見込んではいないようです。株式投資家が「ソフトランディング」を望んでいるのは明らかです。主要な中央銀行が金融引き締めを適切なペースで微調整すれば、その願いが叶う可能性はありますが、非常に難しいと言えるでしょう。

 


 
 
今週のチャート

Wishful thinking?

US money markets foresee a 42bps lower Fed funds rate over the course of the second half of 2023

 

Source: AllianzGI Global Economics & Strategy, Bloomberg, as of 14 Dec 2022 (before FOMC meeting)

来週を考える

イベント続きの1週間を経て、クリスマスまで少なくなりそうですが、いくつかの重要な発表が予定されています。今週は、全米住宅建設業者協会(NAHB)の景況感指数、建築着工件数、建築許可件数など、米国の住宅市場に関するいくつかの指標が発表される予定です。さらに、ユーロ圏の欧州委員会指数、ドイツ GfK消費者信頼感指数、全米産業審議会指数など、消費者心理に関する指標も発表される予定です。ガソリン価格の最近の大幅な下落は、低い水準での安定をもたらすかもしれません。中央銀行の政策では、火曜日の日本銀行の政策決定会合が脚光を浴びることになりそうです。週明けには、日本の11月のインフレ率も発表される予定です。

総じて、今後数ヶ月間に市場参加者の願いを実現することは、かなり難しいように思われます。そして、インフレ率の急速な低下や金融緩和政策と、ほぼダメージのない経済活動や快適な企業収益を両立させることは不可能かもしれません。

 

新しい一年が健康で幸せなものでありますように、そして願いが一つでも多く叶いますように。

 

 

ステファン・ロンドルフ
シニア・インベストメント・ストラタジスト・グローバル・エコノミック&ストラテジー

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