幸せなのは雨が降っているときだけ
経済楽観主義者達は、もはや絶滅危惧種と言ってもいいかもしれません。アメリカ・ミシガン大学の消費者心理調査は、1952年に調査を開始して以来の最低水準となりました。これは現在のパンデミックを考慮しても、1985年を起端にユーロ圏の消費者信頼感は停滞し続けています。今週はIMFでも、「世界的な景気後退に陥るのは時間の問題かもしれない」と報告されました。
投資家たちは、どのようにこの荒波を乗り越えられるでしょうか。明らかな課題は、インフレが過熱しており、各中央銀行は金利を引き上げなくてはなりません。金利の引き締めが予定される一方でどの程度引き締めるかをインフレの継続的な下落を前に判断することは難しいでしょう。なぜなら中央銀行の利上げは、意図の有無に関わらず、景気後退を加速させることがあるからです。
それを踏まえたうえで、重要なのは景気後退が来るのかどうかではなく、いつ来るのかです。
米国経済ハイフリークエ ン シ ー データー、景気後退がどこか分かりますか?(% charge from 2019)

Past performance and forecasts are not a reliable indicator of future re-sults. Source: AllianzGI Global Economics & Strategy; OpenTable; Indeed; TSA; as of 26 July 2022
来週を考える
来週の経済カレンダーは、経済指標で埋め尽くされています。それらの指標は、2022年の上半期を終え、第3四半期が始まろうとするなか、健全なグローバル経済に影を落とすものとなるでしょう。
月曜日のアジア圏では、中国の財新/マークイット製造業PMI指数 は、過去3年以上で最も早い成長を示すことが期待されています。しかし、アメリカでは反対に、ISM製造業指数が2020年6月以来のなだらかな成長が拡大すると予測されています。一方、大西洋側では、ロシア・ウクライナ戦争の影響が、ユーロ圏で17カ月ぶりに失業率を押し上げていたかもしれません。
火曜日と水曜日は、ユーロ圏に引き続き注目すべきであり、6月の生産者物価上昇率は前年比36.7%増、小売売上高が0.4%減と予想されいます。アメリカの経済ウォッチャーはJOLTS求人労働異動調査の動向に関心を寄せるだろうと思われます。レポートでは恐らく、記録的な数値に近い水準の求人があった5月の11.25百万から若干減少し6月は11百万となることが予想されています。
木曜日は、日本とイギリスに注目が集まります。日本では、家計消費支出(インフレ調整後)が3か月連続の、縮小傾向から抜け出し、6月は前月比2.1%の上昇となる兆しが見えます。これは今年始まって以来の、よい兆候といえるでしょう。イギリスでは、イングランド銀行が7カ月の間で6回目となる利上げを実施するでしょう。今月の初めにイングランド銀行は、「経済の見通しは、実質的な悪化をしている」と発表しています。政府は引き続き、1982年マーガレット・サッチャー政権下以来のインフレの過熱に悪銭苦闘を強いられています。
今週は、金曜日に米国雇用統計が終盤に予定されています。コンセンサスの予測では、歴史的な厳しい状況から若干の緩和が見られるとされています。非農業部門雇用者数の拡大は6月の372千人から若干の減少がみられるものの、7月も255千人と依然として高い数字を維持すると見られています。失業率は世代をまたいで3.6%の低い水準を保ち続けるとみられ、平均時給は前月比0.3%増となる見通しです。
テクニカルについて
足元で行われた投資家調査では、非常に悲観的な見方が示されました。景気後退時かと思われるような弱気な姿勢がみられ、株式と債券への配分比率は減少し現金保有比率が増加しています。不安定なサプライチェーン、コモディティ、労働市場そして住宅市場により、インフレの今後の見通しにも暗雲が立ち込めています。その一方で一部の投資家は、インフレを見通した上で、景気停滞のリスクと中央銀行が緩和に乗り出す可能性に着目しており、それは2023年にも実施されるのではないかと見ています。こうした動きは長期国債の金利低下を促し、実際に米国10年債利回りは6月に3.5%に近づいて以降、足元では2.8%から3.0%のレンジに急落しています。もし利回りが2.7%のテクニカルラインを割った場合、そこからさらに下がることも起こりうるでしょう。
晴れの日が訪れますように。
グレッグ・メイヤー
ディレクター、シニア・エコノミスト、グローバル・エコノミスト&ストラタジー
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